ロタウイルスワクチンの概要、接種時期、接種できる条件、副反応について
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ロタウイルスはレオウイルス科に属するウイルスです。
このウイルスは人に感染することで主に嘔吐・下痢の症状を引き起こします。
ロタウイルスの感染を防ぐためにワクチン接種が行われます。
ここではロタウイルスワクチンについて詳しく紹介します。
ロタウイルスワクチンは任意接種。費用は?
ロタウイルスワクチンの接種は任意接種となっています。
そのため費用は全額自己負担となります。
ちなみに、約50%のお子さんがこのロタウイルスワクチンを接種しています。
ロタウイルスワクチンの接種は複数回に分けて行われます。
ロタリックス(GSK社製)の場合には2回接種、ロタテック(MSD社製)の場合には3回接種となります。
ワクチンと言えば注射を思い浮かべる方も多いかと思いますが、ロタウイルスワクチンは経口ワクチンです。
シロップのワクチンを飲み込むことで効果を示します。
料金は全額自己負担で合計3万円程度の場合が多いです。
ただし自治体によっては助成金が出る場合もあります。また料金は病院によって異なります。
ロタウイルスワクチン接種が必要な理由
ロタウイルスワクチン接種が必要な理由は、ロタウイルス感染症の重症化の予防になるためです。
ロタウイルス感染症は10%の確率で重症化すると言われています。
ロタウイルス感染症が重症化すると嘔吐下痢が激しくなり、脱水症状などで入院が必要となるケースもあります。
また、重症化すると嘔吐下痢だけでなく、脳炎、意識消失、けいれん、腸重積が起こることがあります。
ロタウイルスワクチンを接種することで、ロタウイルスに感染する確率を低くすることができます。
ただ、ワクチンで100%感染を防ぐことができるわけではありませんが、感染しても軽症で済むことが多いです。
つまり、重症化の予防にもなるのです。
ロタウイルスワクチンが接種できない人
以下の条件に該当する場合にはロタウイルスワクチンを接種することができません。
@明らかな発熱がある
A重篤な急性疾患にかかっている
Bロタウイルスワクチンの成分で過敏症(アレルギー反応)を起こしたことがある
C腸重積症の発症を高める可能性のある未治療の先天性消化管障害(メッケル憩室等)がある
D今まで腸重積症になったことがある
E重症複合型免疫不全(SCID)の人
Fその他、ロタウイルスワクチン接種が不適当な状態にある場合
ロタウイルスワクチン接種のタイミング
ロタウイルスワクチンは生後6週から接種が可能となります。
ロタリックスは生後24週まで、ロタテックは生後32週までに接種を行うこととされています。
また、生後14週6日までに1回目の接種を行うことが推奨されています。
1回目と2回目の間隔(ロタテックの場合は2回目と3回目も)は4週間以上空けることとされています。
他のワクチンとの接種間隔、併用について
他のワクチンとの併用に関してですが、他の生ワクチンとは27日以上、不活化ワクチンとは6日以上間隔を空ける必要があります。
ただし、医師の判断で他のワクチンと同時接種することは可能です。
ロタウイルスワクチンの副反応
代表的な副反応は腸重積
ロタウイルスワクチンの代表的副反応は腸重積です。
腸重積は腸の上に腸が重なってしまう状態をいいます。
腸重積が起こると、繰り返し起こる嘔吐、お腹のはり、血便、ぐったりし不機嫌になる、顔色が悪くなる、といった症状が現れます。
腸重積が起こるのはワクチン接種後1週間以内に起こる場合がほとんどなので1週間は注意しておきましょう。
また、2回目の接種で腸重積が起こる確率は1回目よりも大幅に少なくなりますが、わずかに腸重積が起こる可能性もあります。
ちなみに、なぜ生後間もなくロタウイルスワクチンを接種する必要があるのかというと、ワクチンの副反応である腸重積を最小限に抑えるためという理由もあります。
腸重積は2か月までの接種ではほとんど起こりませんが、月齢を重ねるごとに起こりやすくなり、生後7か月で確率がピークとなります。
その他の副反応
その他、発熱、下痢、咳、鼻水といった副反応が現れることがあります。

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